「おい、光、大丈夫か? 今すぐ、抜いて――」
「やめてっ!」
ただ痛みに堪えるばかりの妹が、叫んだ。
離さないと言わんばかりに、光は更に強く僕を抱きしめる。
「これで、いいんです……! これで、いいんです……!」
泣きそうなほど、声を震わせて。
「今はこの痛みが、嬉しいから」
「……光」
「少しずつだったら、きっと兄さんは途中で止めてしまいます。わたしを気遣って、中断してしまうでしょう。わたしは、弱いから」
痛みに慣れてきたのか、声がやや余裕を取り戻す。
それははかない程度の余裕だけども。
「それに、痛いほど兄さんの存在が伝わって――温かいです。嬉しい……わたし、兄さんの女になれたんですね」